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向かい合う瑞と颯馬を、伊吹が静かに見つめている。しばらく虚空を見上げていた颯馬だが、やがて静かに口を開いた。

「俺はこの山で育ったんだけど、神様たちは色んなことを教えてくれるんだよ」

神様たち？

「瑞くんが転校してきたとき、奇妙な魂の持ち主だから目を離すなって言われたし」

天狗だったかな、それとももっと別の何かかも。颯馬はそう言うと、まっすぐに瑞の目を見た。そして。


「輪廻転生って知ってる？」


瑞と伊吹を捉えて離さない言葉だった。いつかの時代で、別の誰かをやっていた自分たちが、何かの理由で転生を続けている。それが瑞の予想というか、漠然と感じている伊吹との因縁の正体なのだが、改めて言葉にされると不思議というか、突拍子もない言葉に思えてくる。

「俺は、なんで、何度も生まれてこのひとを探してるんだ？」

颯馬なら、もしかしたら答えをくれるかもしれない。そんな気持ちが逸って、瑞は身を乗り出して尋ねた。

「詳しいことはわかんないよ。でもね、瑞くんはこの山で神様に説教じみたことされて若干嫌われてるし、神聖な木に触れないし、魂が普通じゃないんだ。たぶん、どっかの時代だかで神様みたいなものをやっていたことがあるんだと思うよ。人間じゃなかった時代があったんだよ」

あまりに突飛なことを言われ、瑞は言葉に詰まる。
人間じゃなかった時代？