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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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あの日、雨に消えた背 探偵奇談10

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辿る道の先



境内で子ども達のケイドロが始まる。火の始末をしながら、いつもと同じ調子で颯馬が尋ねてきた。

「で、今日はどうしたの?二人一緒にピクニックってわけじゃないよね?」

なんと答えていいものか。こいつはなにをどこまで知っていて、果たして自分たちにとって心を許していい相手なのかも判別できない。瑞が言い淀んでいると、立ち上がった颯馬が手招きをした。

「せっかく来たんだから、このあたり案内してあげる」

そう言って先を行く颯馬に、瑞らは黙ってついていくことにした。

鳥居の周囲をめぐると、人工的なものは消えうせ、雄大な自然が瑞らを迎えた。以前校外学習で来た時には見えなかった神社の奥へ、颯馬は歩みを進めていく。

「ここはね、山全体がご神体なんだよ。あの木にも、この滝にも、葉の一枚、水滴の一粒に至るまで、すべてに神様が宿ってるって言われてるんだ」
「…すごいな、この木」

瑞は目の前の大きな木を見上げる。苔むした幹が、まっすぐに天に伸びていた。何百年と、ここに鎮座している物言わぬ生き物。瑞は手をかざし、そしてすぐにひっこめた。

「…だめだ、なんか触れない」

なんというのか、触れば痛みを感じそうなほど生命力にあふれている気がする。それを見て、颯馬は意味ありげに目を細めるのだった。

「瑞くんはね、あんまりこの山には歓迎されてないから」

そんな気はしていたが、尋ねずにはいられない。

「颯馬は、何か知ってるのか」