小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」
ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
新規ユーザー登録
E-MAIL
PASSWORD
次回から自動でログイン

 

作品詳細に戻る

 

あの日、雨に消えた背 探偵奇談10

INDEX|4ページ/14ページ|

次のページ前のページ
 


「あのじーちゃんが神主?」

社務所にいる小柄な老人が、突き刺すような鋭い眼光をとばしてくる。

「うん。殺し屋とか言われて七五三参りに来た子どもをよく泣かせてるけど、ちゃんと御祈祷できる神主だよ。おまもり買ってく?」

こいつも人の子だったのか、と瑞は妙に安堵する自分に少し驚く。得体が知れない雰囲気があるから、底知れない怖さを感じていたのだ。

「落ち葉集めてシイノミ焼いてたんだ。瑞くんらもどうぞ」

小ぶりなドラム缶の上にフライパンが置き、シイノミを炒っているらしい。子ども達が期待を込めた表情でそれを見つめていた。

「シイノミ懐かしい。子どものときよく食ったよ」

瑞は子どもの頃を思い出す。フライパンの上にあるシイノミは、瑞が知るものより大粒だった。香ばしい匂いが漂ってくる。参拝者や子ども達が、殻を割って食べている。

「あまいな」
「うん、うまい」

殻を破ると、中から真っ白な実が出てくる。濃厚な、栗のような甘味が口のなかに広がった。

「おいしー」
「もっとちょうだい」
「ちょっと冷めてから食えよ。やけどするぞー」





.