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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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隣と彼方 探偵奇談9

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今度は黒づくめの瑞がやってきた。と同時に教室が歓声に包まれた。

「ドラキュラかよ須丸~」
「かっこええやん」

くじ引きで決まったから、と言う声はいつもの瑞だが、本格的な衣装とメイクで雰囲気が全然違う。髪の毛が逆立っていて気になるようだ。しきりに手をやっている。

「須丸くん怖いね~。牙が!顔色もやばいね!」
「女子のメイク力ってやばいんだな。びっくりした」

そんなことを言うのだから、笑ってしまう。
ゾンビにドラキュラにジェイソンにフランケンに血まみれの花嫁に…脅かし役がかなり完成度が高いことに、担任も目を丸めて驚いている。こうやって、みんなで同じことに取り組んで力を合わせるということが、難しくもありそしてとても楽しい。郁らは満ち足りた気持ちだった。

明日はみんなで頑張ろう、と話をしていから解散となる。八時前だ。あたりはもう暗い。着替えや準備を済ませて次々と生徒たちが教室を出ていく。

「郁、帰ろっか」
「うん」

美波と一緒に教室を出たとき。

(あ)

同じく帰り支度を整えた瑞が、階段の脇で女生徒に呼び止めらているのを見つける。ネクタイの色からして、三年生だ。背の高い、足のきれいな女子だった。栗色のつやつやの髪、きれにあげられたまつげが見える。女生徒に何か言われ、瑞は彼女とともに歩き出した。

「ありゃコクられにいったな」

美波の言葉に、郁の胸は小さくさざめく。

「学祭前は多いね。この浮ついた雰囲気のせいか、あちこちでカップル誕生してるみたいだし」