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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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隣と彼方 探偵奇談9

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「須丸くんも…ここんとこ結構いろんなひとに呼び出されてるよね…」

その中に、彼の心を射止めた女子はいるのだろうか。友だちでいいと、そう決めた郁に、知る権利も咎める権利もないけれど。

「いまの三年のチョー綺麗な先輩だったね。バレー部の」
「そ、そうなんだ。モデルみたいだったね」
「須丸って年上のめっちゃキレイ系のお姉さま方に、異様にもてるんだってね」

ちんちくりんの郁とは対照的な女性ばかりだ。ちょっと落ち込んでしまう。そして急にそわそわしてきた。もし、そのチョー綺麗なバレー部の先輩と瑞がいい感じになっていたら、と。

「さっきの先輩もさー、年下キラーらしいよ」
「……」

美波はたぶん、郁を煽っているのだ。友だちでいいと宣言した郁に、美波はあまり納得していないようだったから。当たって砕けるくらいでちょうどいいと、そう思っているのかもしれない。

「気になるでしょ」
「…なるよ、もう!」
「行っといで」
「も~~~~!!」

美波に見事にそそのかされ、郁は瑞らが消えた裏庭のほうへ向かう。気になって仕方ない。自分に何かできるわけでもないのに。

校舎をうろうろしているが二人を見つけられなかった郁は、下駄箱で瑞を待つ。長い長い時間が過ぎたように思えたが、瑞が戻ってきたのはほんの十分ほどあとのことだった。彼は一人だ。さきほどの女生徒はいない。

「一之瀬」
「う、ああ、あの、トイレ寄ってたら遅くなっちゃった!」

見苦しい言い訳をしながら、さりげなくローファーを履く。瑞は特に訝しむ様子もなく、自分も上履きを履き替えた。何となく並んで玄関を出て、自転車置き場へ向かう。