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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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隣と彼方 探偵奇談9

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じゃあ、こんなところで寝ているわけにはいかないじゃないか。瑞は糸の続く森の奥へ目をやった。暗い森。どこまで続いているのかも、何が潜んでいるかもわからない。永遠の夜の中を、ひとりぼっちで歩き続けなくてはいけない。たどり着くまで。

「いつか、絶対にたどり着けるのか?」

――あなた次第。諦めるも。引きちぎるも。それでも再び繋いで、長い長い時間彷徨い続けるのも。すべてあなた次第。あなたと、その糸の端をもつひと次第。

声は続ける。

――もう幾度目の挑戦かな?だけどね、あなたは一度たりとも諦めたことはなかったよ。根性あるね。執念かな?

幾度目?
ここに来るのは、糸をたどるのは、これまでも幾度か経験しているということか?瑞には覚えなどないが、声が言う内容は、そのように解釈できる。

――見守っていてあげるよ。行ってらっしゃ~い

癇に障る声に見送られ、瑞は歩きだす。





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