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夢風船(詩集)

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船長は覚えている
島に戻ってきた人の姿も
船長は知っている

島の人の人生を運んできたのが
船長なのだ
本土と離島の波間を蹴って

この船長を知らない離島の人は
いない


  
   平原に浮かぶ満月
限りなく続く平原の
かなたの遠くの空に
くっきりと上がっているのは
満月

その白く冴えた姿は
月の重さを支えるものを
求めているようだ

月とわたしの間をさえぎるものは
何もない
無言で対面していると
語りが聞こえる

それはわたしなかで
拡大している
体を持ち上げるように

わたしは
平原を走る駿馬のように
月に向かって走りたい


  
   UFO
月のかなたの宇宙から
やってくるのは誰だ
UFO
すでに知られている事実

宇宙の時代を実感させるのは
unknownでなくなった
時だろう

そのときの地球の情景は
誰が
それを想定できるのか

地球を守るために
人類は団結しなければ
生き残れなくなる

人間同士の戦争は
そのとき終焉することに
なるだろうか



第二部 心象
  
  見えないはずのもの
宇宙から何かがやってくる
その予感が
的中したように風が
さっと過ぎ去ったのだ

その不思議な風は
光の帯を残して行った
瞬間のことだったけれど

それは夢の中だったのか
意識ははっきりしていたのに
目覚めているときでは
なかったのだ

見えないはずのものが
目に映るのは
どうしてなのだろう
それも瞬間の体験として
   
   
   
   躍動
人の心は
時に躍動し静止する
その変化は
何を語っているのか

環境が触媒になって
作用すれば
心と体が結ばれて
花を咲かせる

暗闇に落ち込めば
静止して塊となる
何かを恐れているのだ

それを突き破るように
閃光が差せば
そのかなたの果てまで
心は昇ろうとする

身体をそれに従わせれば
躍動が
希望の光を求めて始まる

心が一人去ってしまえば
静止が
身体を支配する

静止が始まらないように
心は
息吹を人に与える

天の光と地の闇の間で
人は
人生という時間を過ごす


   
    意識
永遠の闇を貫くように
生きることが
運命のようにのしかかって
いるのは何故だ

人は自らは自覚しないで
この生を
自分のもののように
思っている

どうして自分が
ここに存在するのかの
意味を考えることもなしに

動物として生まれてきたことを
何故
不思議に思わないのか

肉体に宿る精神というものは
化学的物質に分解できる
ものだろうか

精神は可視的な物質ではない
それをつかむことは
不可能な
無形の実体である

人をかたち造っている肉体を
動かしているのが
精神といわれる意識なのだ

意識が途絶えれば人は死ぬ
肉体を操作するものが
存在しなくなるからだ

この意識は何処から
発生しているのだろう
物質の複合といえるのだろうか

意識は
不可知の存在なのであろうか
生命をつかさどるものの
実体であるのに

人間にとって超越者が存在する
それを知らしめるのが
意識の実存であるのだろう


    
    光.
窓辺に佇むのは誰だろう
その黒い影が
光をさえぎっている

その部分を除けば
すべては光にみちている

存在するすべてのものに
光がそそぎ
そのために影ができている

光を求めて歩くものは
その反対の
影が付きまとうことを
承知しなければならない

影こそが
自分の存在をしめしている
光の沃野の中で

光は影をつくることで
存在のかたちを示している


   

    愛
愛することの難しさが
かもし出す
不可解な状況は
己を捨てられないこと
から来るものか

己を捨てて愛するのは
自らの魂を
他者に捧げること

己を滅して生きる
それが
愛の本質なのであろう

そのわざの難しさは
鬼子母神の変身にいたる
物語に示されている

愛は
命あるものすべてに
注がれる
生命の光であろう

自らがその光の本体となる
目覚めこそ
愛を自らのものとする道で
ある



   揺篭
時は私を
限りなく愛し
ゆりかごの中に置いた

永遠なるものの声が
ささやき
未来へと誘う

大きな呼吸をして
生きる命を
確かめるように
私は動く

すべてがそうであるように
宿命の星が
輝いている宇宙がある

それを
私は生まれたときに
授けられたのだ

宇宙こそ私の揺り篭
なのだと
大気に包まれる

永遠なるものが
私を
育てていてくれる

 

   宇宙
透明の地球の上で
マグマを眺めている

青い星が宇宙から
落ちで来る

緑の森が広がってゆく
原始のかなたへ

激しく流れているのは
海のブルーだが

空と海が一つにつながって
地球は無限になる

岩石は黒々と燃えて
火を天に向かって噴く

滅すべきは人間なのだ

   
   
   雲 
人の世を流れる雲は
心なしかさびしくて
果て知れず去ってゆく

雲はさまざまに変わって
心の姿を映し
消え入るようになるころ
光を受けて輝く

生まれたばかりの雲が
たくましく立ち上がると
空は白い山が重なり
見るからに恐ろしい

雲は上から見ればまさに
怪物のような生き物である

地上から見上げる雲は
たなびくように一面を
覆いつくして
光をさえぎって通さない

雨雲が走れば
雨滴となって落ち
雷雲が立ち上がれば
雷光が雷鳴を伴って来る

晴天の白雲は
さながらに白鳥のように
軽やかに跳んでいる

人生まさにかくのごとしと
千変万化を楽しませる
雲は
わが友であるように
空にある


   
    音 
轟々と鳴る音は何処から
来るのだろうか
天地の間にあるすみかでは
得体の知れない音が充満し
人間を包み込んでいる

その音の発信源は
何処にあるのだろうか
自然の音だとおっもていると
そうではなくて
人間の作り出す音が
複雑に重なっているのだ

自然の発する音のみの空間
そのなかに人間が静かに生きる
それは動植物の音に囲まれて
人間が恐怖の中に生きる
姿であった

人間の発する音が支配する空間
そのなかに動植物が生き残っている
それは人間の音に囲まれて
動植物が生存の危機に曝されている
現代なのだ

地球の生き物のバランスが崩れ
人間が支配者になった地球では
自然の生命が死を迎えている

音はさまざまな生命の生き様を
響かせているのだ
生命は音を発するがゆえに見える
無形の実体である



第三部 人生

   人生
楽しくやれば
いいのだよ
どうせ人生は
遊びの旅だから

生きていること
そのことが
遊びなんだから

人と人が手を繋いで
助け合って
励ましあって
生きればいいのだ

だましあったり
殺しあったり
つまらないよ

地球の資源は
分かち合って
貧困をなくそうよ

戦争などするのは
愚かなこと
テロなんやるのは
むだなこと

100年ぐらいが
最高齢の
人生じゃないか



    本能
滔々と流れる川を見れば
人は自分にも力を得たように
体が緊張して来る

流れの速さとそのボリュームが
ある限度を超してくると
不安が襲ってくる

自らに許す限度感があって
自然本能で
作品名:夢風船(詩集) 作家名:佐武寛