七色の絵描き
少女は、もう数日の命だと告げられ止めどなく流れる涙を拭うことも忘れ、泣き続けていました。
「あなた、そんなに泣いたらあの子が悲しむわよ。笑顔を見せてあげなきゃ」
そういう妻も涙の溢れる笑顔です。
二人は腕の中で安らかに眠る幼子が少女の様に優しい娘に育ちますようにと願いました。
少女は、病室のベットで安らかな寝顔をしていました。
青年は、そっと病室を出ていき、ソファに座り待っていた老人に会釈をして帰って行きました。
老人は病室に戻り、幸せに満ちた寝顔にありがとうございますと泣き崩れてしまいました。
青年は、また何処かで虹を描いています。彼は、虹の絵描き、七色の絵描きさんですから。