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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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忘れじの夕映え 探偵奇談8

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「…ううん。おばあちゃんちに遊びに来てるだけ」

恥ずかしそうに、少年は言った。突然声をかけられて戸惑っているようだった。恥じ入ってうつむくと、細い首が見えた。

「一緒に遊ぼうよ。おいでよ」
「そーだよ」
「いまからケイドロするんだよ。男子チーム人数たんねえから、入ってくれよ」

青葉らが誘うと、少年はぱっと顔を上げて、驚いたような表情を浮かべた。

「い、いいの?」
「いいに決まってんだろ」
「おいでおいで」
「ありがとう…!」

聞けば小学三年生だというから、同級生だ。

「名前なんてーの?」
「あつし」
「あつしくんかあ」
「よろしくね、あっくん」

あつしは色が白くてほそっこい。背も低いから、女子の青葉のほうが態度も力も強いくらいだ。

その日からあつしは、青葉らと急速に接近した。放課後は毎日のように遊び、仲良くなるのに時間はかからなかった。家庭の事情か何かがあり祖母宅に身を寄せているのだろうと、漠然とそう思っていた。

「お菓子持ってきたよ。おばあちゃんがみんなで食べなって」

色白で力も気持ちも弱く、虫も触れない怖がりで、ドッヂボールもへたくそだったけど、それでも青葉らはあつしのことが大好きだった。とても優しくて穏やかだったから。にこにこと笑っているあつしがそばにいるだけで、なんとなくほっとするのだった。ルールをめぐって青葉が男子と喧嘩をしているときや、親や先生に叱られて落ち込んでいるとき、何も言わずそばにいてくれる。それだけで、気持ちが静かに落ち着いて澄んでいくのだ。