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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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忘れじの夕映え 探偵奇談8

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青葉の通っていた小学校は、田舎の山すそにある小さな学校だった。両親の転勤で市街地の中学校に転校するまでの間、青葉は自然に囲まれた豊かな土地で大きくなった。

ひとクラス20人にも満たない少人数の小学校。だからこそ絆も強く、仲が良くて、居心地のいい場所だったことを覚えている。

放課後は、川遊びをしたり、神社でかくれんぼをしたり、とにかく戸外で遊びまくっていた。年上の学年の子たちとのつながりも強く、毎日のように日が暮れるまで遊んだ。

子ども達のおきにいりの場所があった。村の集落の坂道を登っていくとある、広大な広場。
そこにはかつて、旧制小学校があった場所だった。建物はもう取り壊されていてないが、広大な原っぱは子どもにとって格好の遊び場だった。
春には一面にシロツメグサが咲き乱れ、夏は蝉やカブトムシの宝庫となり、秋はドングリ拾い放題、冬は一面に雪が積もって最高の遊び場になる。そんな場所だった。

放課後になると、子ども達は草の上にランドセルを投げ出し、ケイドロやドッジボールに
興じた。そこから見える山に沈む夕日が美しくて、日が沈むのを見送ってから家路につくのが青葉らのルールだった。

その日。

野原にススキが揺れる時期だったと思う。その日の放課後も、郁らは丘にやってきていた。

「あれ、誰かいるよ」

丘へ続く苔むした石段のそのそばに、見慣れない少年が立っている。色が白くて痩せていた。青葉らと目が合うと、気まずそうに、照れたように顔を伏せる。

「ねーきみ転校生?」

物おじしない性格だった青葉は、声をかけた。同じ小学校の子なら全部知っている。この子は見たことがないから、町から来た子だと思ったのだ。