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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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忘れじの夕映え 探偵奇談8

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「青葉ちゃんは、すごいね」

いつだったか、夕焼け空を二人で眺めたときがあった。あれはどういう状況だったか忘れたけれど、その日は青葉とあつしの二人きりだったのだと思う。他の友だちは帰ってしまったのか、なにか用事があって集まれなかったのか。木のそばに座って他愛のない話をしながら、日が沈むのを待っていたとき。

「すごいって?」
「ドッヂボールも強いし、自分の言いたいことはっきり言えるし、かっこいいよ」

男勝りな自分を、青葉は恥ずかしいと思ったことはないし、逆にあつしの言うようにすごいと思うこともなかった。これが自分の自然体だから、意識したこともなかった。女の子なのに、と両親に苦笑されることもあったが、別に気にならない。

「あっくんだってすごいじゃん」
「どうして?」
「優しいもん。いつもにこにこしてて、すごいよ。あたし怒りっぽいとこ、直さなきゃって思うよ」

ススキが、風に揺れて囁くように音をたてる。あつしはしばらく黙っていたけれど、やがて静かに言った。

「…覚えてたいなあ、青葉ちゃんのこと」

それを聞いて、青葉の胸に寂しい気持ちが溢れる。あつしはいつか、町へ帰ってしまうのだろう。彼はこの村の子ではないから、別れるときが来るのだと。

「覚えてたいよ、大人になっても…ずっと…」




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