小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」
ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
新規ユーザー登録
E-MAIL
PASSWORD
次回から自動でログイン

 

作品詳細に戻る

 

忘れじの夕映え 探偵奇談8

INDEX|7ページ/43ページ|

次のページ前のページ
 


(…一之瀬、髪伸びたな。切らんのかな)

前に向き直る郁の髪が、細い肩をすべる。夏に前髪を切ってやってからずいぶん伸びて、鬱陶しそうだ。彼女はいま、必死に早気と戦っている。スランプと向き合うのは、根気もいるししんどいだろう。でも郁は前向きだった。稽古を見ていればわかる。投げ出さない彼女を、すごいなと素直にそう思う瑞だった。

(俺も負けられないな)

もっと稽古を積んでうまくなって、チームに貢献して主将を助けたい。副将として、後輩として。

そうこうしているうちに個人の競技が決まり、ホームルームが終了する。

「残り時間は自習だ。隣まだ授業してるから静かになー」
「はーい」

担任教師が教室を出ていく。

「瑞、将棋しよーぜ」
「おーいいね!」
「今日は負けねえ。こないだはやられちゃったからな」

後ろの席を振り返り、将棋部の村上くんと盤を挟んで向き合う。他の連中も、漫画を読みだしたりゲーム機を取り出したりしながら、思い思いの時間を過ごしている。

「え、怖い話?」

前方の女子らと喋っている郁の声が耳に入ってくる。

「なんか新聞部が怪談集めてるんだって。学祭で特集組むらしいよ。学校で変な事件あったじゃん?裏山の神様の特集も併せてやるらしいよ」

怖いのが苦手なくせに、と瑞は内心で微笑ましく思う。なんだかんだと怖い事件に巻き込まている郁だが、未だにおばけだとか幽霊だとか、そういうものには拒否反応を示している。

「んん~、怪談っていうとトイレの花子さんとか?」
「ありきたりじゃない?瀬戸ちゃんは、なんかない?」

瀬戸青葉(あおば)は郁の隣の席で雑誌に目を落としていたが、声をかけられ顔をあげたようだった。

「怖い話?あんま興味ないなあ」

青葉は女子バレー部で、背が高い。男前女子と称されるショートカットの彼女は、さばさばとした飾らない性格である。付き合いやすく、瑞とも気安い仲だった。

「あ、でも一個…」

なになに、と女子らが青葉の机に集まる。

「怖いっていうか、不思議な話なら、あるよ4」
「やめろよ~俺怖いのだめなんよ~」

村上くんがその会話に耳を閉じる仕草をする。瑞は興味を惹かれて青葉のほうをを見た。

「小学校の頃のことなんだけどね…」





,