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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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忘れじの夕映え 探偵奇談8

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すごい、と感嘆する。女子ってすごい。ケーキって学校で作れるのか。驚きの声をもらす伊吹に、女子たちは満足そうな表情を浮かべるのだった。

再び電気が落とされて、ろうそくの柔らかな光があたりを優しく包む。

「ではろうそくを吹き消す前に、全員を代表して副将から一言」

前主将、宮川の声が響き、事前に聞いていなかったであろう瑞が、突然のキラーパスに慌てている様子が伝わってきた。

「ええと、いつも俺らのことを引っ張ってくれてありがとうございます」

まだ呆けた表情を浮かべているであろう自分に、瑞が微笑みながらそんなことを言う。ろうそくの火がゆらめき、黒い影が落ちるその表情は、とても柔らかく、優しく見えた。

「今日は俺達から感謝の気持ちを伝えたくて、サプライズで準備しました。主将が喜んでくれるといいなって、みんなで考えて」

サプライズ…。それで瑞の挙動が不審だったのか。伊吹に悟られぬよう、全員で準備をしてきたのだろう。実際伊吹は何一つ感づかなかったから、サプライズは大成功と言えるだろう。

「主将の仕事はすごい重圧だと思うし、俺らこんなだし、主将は気苦労絶えないと思う。そんなそぶりを一切見せないから、ちょっと時々心配です」

そうだそうだ、と周囲が瑞に同調する。

「もっと頼れよ」
「愚痴ってくれー」

そんなふうに、思っていてくれたのか…。

「ええと…俺たちは、主将を信じてついていきます。みんなで強くなりましょう。俺らみんな、主将のことが大好きです!これからも、よろしくお願いします!」
「よろしくお願いしますッ!」

瑞に合わせて部員たちが声をあげ、頭を下げた。