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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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忘れじの夕映え 探偵奇談8

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電気の落とされた弓道場は暗い。もうみんな帰ったのだろう。電気をつけようと壁際に手を伸ばしたそのとき。

「!!」

ぱん!と四方八方で破裂音が同時に響き、伊吹は身をすくませた。同時に明かりが灯り、そこには。

「ハッピーバースデー主将~!!」

帰ったはずの部員、顧問らが伊吹を取り囲んでいた。手にクラッカーを持って。火薬の匂いと歓声が、伊吹を包む。

「…は?」
「お誕生日おめでとーございまーす!」

割れんばかりの拍手に囲まれ、伊吹はしばし放心する。

誕生日?誕生日…!そういえば今日は誕生日だ!
自分の誕生日を祝うために、集まってくれたのか?瑞をはじめ、ニコニコしながら手を叩いている者たちの中には、顧問やコーチ、引退した三年生の姿まで見えた。

「先輩すみません、びっくりさせちゃって」

瑞がホッとしたような表情を浮かべながら頭を下げる。

びっくりというか、こんなこと想像もしてなかったから、まだ思考が停止してるみたいで何も答えられない。

「主将に女子部員一同より、ケーキのプレゼントで~す」

女子たちが運んできたのは、正方形の大きなケーキだった。ろうそくが、おそらく伊吹の年の数だけ立てられ火が灯されている。白いクリームと色とりどりのフルーツ。伊吹の名前が書かれたプレート。豪華なケーキの登場に、伊吹はまたもや言葉を失う。

「家庭科室借りて、スポンジから焼いた超力作ですっ!」
「どうよ神末、うちらのこの女子力!」