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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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忘れじの夕映え 探偵奇談8

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とっぷりと日が暮れて、外はすでに暗い。部活を追える頃の空の色が、季節が移り変わることを実感させてくれる。

「伊吹先輩、ちょっといいですか?」
「うん?」

弓道場を出たところで、伊吹は瑞に呼び止められる。友人らに先に帰るよう伝え、後輩に向き直る。

「どうしたんだ?」

「あの、えっと、相談したいことがありまして…」
「相談?」

青葉の件なら先日無事に片付いて、こいつの悩みは解消されたはずだが。

自転車小屋までやってきて、しかし瑞はうーんとか、あーとか唸るだけで、なかなか切り出さない。何か言い出しにくい相談なのだろうか。伊吹は辛抱強く待つことにする。

…五分後。

「……」

瑞は気まずそうにきょろきょろしたり、時々へらっと場を繕うように笑っている。気長に待とうと思ったが、挙動不審すぎておかしい。

「……さっきから何をそわそわしてるんだ?」

訝しみながら尋ねると、瑞は明らかに動揺の色を見せる。ますますあやしい。

「え、そわそわなんてしてないですよ?」
「嘘つけ、腕時計をチラチラ気にしてるし妙に落ち着かんし…。吐け、何をたくらんでるんだ」
「ううっ…」

らしくない。こんなふうにおたおたしている瑞を見るのは初めてだ。よほどやましいことがあるのだろうか。

「わかりました、じゃあ弓道場まで来てください」
「はあ?戻るのかよ」
「そこでちゃんと話しますから!」