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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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忘れじの夕映え 探偵奇談8

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はっきりと気持ちを自覚した今、誰かに聞いてほしくてたまらなかった。相手が超絶モテ男なので大っぴらにはしたくないが、親友になら。以前弓道部の主将だった宮川に恋をしていたころ、応援してくれていた美波には伝えたい。

部活が終わり、親友の美波にそれを伝えると。

「え、知ってたよ」
「内緒にしててゴメンネ…って、え?」
「だいぶ前からそうだと思ってたもん」

意外なことを言われ、郁は手にしていたドーナツを落としそうになる。部活のあと、甘いものを欲したくなるのはどうにかならないものだろうか。と思いつつ、誘惑に勝てない今日この頃である。ドーナツ屋の席で向かい合った美波は、驚くことなく涼しい顔で答えたのだった。

「い、いつくらいから?!」
「えー、夏の初めくらい?」
「そのときあたしまだ、宮川先輩にキャースカ言ってたじゃん!」
「うん。でも須丸の話めっちゃしてたし、意識してんだなーって」
「…覚えてない」

あのころから、もう気持ちが瑞のほうへ傾いていたというのか?無自覚に?

「なんにしてもさ、自覚してくれてよかったよ。まあ頑張んなよ」

美波がそう言って笑う。

「頑張るって…あんな学校の王子様とあたしが、付き合えるなんて思ってないよ」
「じゃあなに、今のままでいいってこと?」
「うん…」

友だちとしてなら、そばにいられる。部活の仲間として一緒にいられる。だけど告白して断られて気まずくなったら、もういまみたいに笑いあえる関係ではなくなってしまうだろう。