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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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忘れじの夕映え 探偵奇談8

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「あたしのことは全部忘れてほしいって、約束、した」

なんだって…?

「もう会えなくなるから、思い出せなくなるから、もう忘れてほしいって。みんなの記憶に残ったら、大人になれずに死んだあたしは、寂しいままだから」

青葉が言葉を失って虚脱している。この約束を、当時の青葉は受け入れがたかったのかもしれない。だから、忘れていたのだろうか。

瑞は郁に問いかける。約束を守れなかったのは、青葉ではなく、彼のほうだったのだ。

「でも、忘れてほしくなかったんだろ?」
「…いやなの、」
「覚えていてほしかったんだろ?」
「一人ぼっちはいや…」

泣き声をあげる郁を抱き留め、瑞は青葉を振り返った。

「…思い出したか?」

青葉は、涙でぬれた顔を向け、静かに頷いた。

「…うん」