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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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忘れじの夕映え 探偵奇談8

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颯馬が確固たる自分の信念をもとに行動していることは、先だっての呪い事件でよくわかった。こいつはただのチャラ男じゃない。

「瑞くんてさあ、妹いない?」

は?
不意を衝く質問に、一瞬身体の緊張が緩む。

「いない。どうしてだ」
「ん?なんとなく思っただけー」
「姉と兄はいるけど…」

へえ末っ子、と笑う颯馬。何を言いたいのかわからない。バッターが大きく空振りし、ヤジが飛んでいる。ボール飛んでくる気配がなく、瑞はベースの上に立つ颯馬の言葉の続きを待つ。

「今度こそ、うまくいくかな」

そう言って、颯馬は目を細めて空を見ている。何の話だ?

「成功条件はそろってる。同じ時代。同じ年の頃。きみが命よりも主よりも思い出よりも優先した妹は、いない。めぐりあわせとしてはこの上ない。失敗は、もうできないよね?」

口元に笑みを浮かべたまま、颯馬は不可解な話を続ける。不穏な空気に、瑞は身体をこわばらせた。

主?妹?思い出?失敗?

「一緒に生きるためなら、何度だってやり直すんでしょ?さあ、今度こそ、あのひととの別れを回避できるかな?」

それは、伊吹とのことを言っているのか?瑞は身体全体で、目の前のこの男を警戒する。