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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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忘れじの夕映え 探偵奇談8

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まぶたの裏が、明るく光っている。オレンジの夕映えの色。そっと目をあければ、そこはきっと、あのススキ野原だ。幼いころの、思い出の場所。聞こえてくるのは子ども達の声。

(ああ、もう起きなきゃ。遊んでる途中で眠っちゃったんだ、あたし)

だけどまぶたが重くて開けられない。眩しいオレンジ。心地よい風。このままもう少し眠りたい。青葉はそう思う。


――青葉ちゃん


優しい声がそばで聞こえる。もうすっかり聞きなれた、静かでゆったりとした声だ。


――眠っちゃったの?


答えたいのに、頭がぼうっとして、夢と現を行き来しているようで声を出すのが億劫だった。


――おきて。風邪、ひいちゃうよ


右手に、柔らかな感触。手を繋ぐ。


「…あっくん、」


自分よりずっと女の子みたいな柔らかい手の感触。握り返すと、あつしが笑ったような気配が伝わる。

――青葉ちゃん、夕日が沈むよ。きれいだね…