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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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忘れじの夕映え 探偵奇談8

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青葉と瑞が教室に戻ってきた。郁は平静を装い、おかえりーと声をかける。

「一之瀬、部活行ってなかったのか?」
「へ?あ、ちょっと予習をね…!」
「はあ?」

二人が気になって部活に行くどころじゃなかったとは、口が裂けても言えない。

「遅れるぞ。行こう。瀬戸、また明日な」
「うん」

青葉は鞄を片手に部活へと行ってしまった。

「な、何話してたの…?」
「え?」
「瀬戸ちゃん、と」

並んで廊下を歩きながら、聞いてしまった。やはり気になる。瑞は青葉とは普段からよく話しているから、もしかして特別な感情でも持っているのではないかと勘ぐってしまう。

「あっくんのことだよ」

あっくん?

「…それってさっきの瀬戸ちゃんが話してた子?」

彼女の記憶にのみ存在しているという男の子の話だ。靴を履き替えながら瑞は話してくれた。

「…瀬戸が話してるとき、そのあっくんっていう子が、ずっとそばで話をきいてたんだ」

それを聞いて、郁は息を呑んだ。

「それって…」
「あっくんは、死んでる子」

ひやりとしたものが背中を流れる。青葉が話した淡い初恋の思い出は、本当に怖い話だったというのか…。

「幽霊見えるとか言いたくないし出来れば隠しときたいけど、初恋とか言うから、知らんぷりできなくて」

それで瀬戸に、見えたものを話したのだろう。幽霊が見えるなんて、彼は言いたくなかっただろうに。

(優しいんだもんなあ…)

そういうところがもうたまらなく好きで、郁は一人で顔を赤くするのだった。

「あっくんは、瀬戸と何か約束してるみたいなんだ。だから、瀬戸だけが彼のことを覚えてる」
「…約束、」

それを思い出せば、あっくんのことが何かわかるかもしれない。
瑞はそう言って言葉を結んだのだった。




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