黒闇抱いて夜をゆく 後編 探偵奇談7
「あ、郁ちゃんだ」
食堂の自販機前で郁を見つけ、颯馬が嬉しそうに近づいていく。
「あ、颯馬くん」
「昨日はありがとうね。。笹山くんにことの顛末を話したら、学校行ってみようかなって、そう言ってくれたんだ」
よかったねえ、嬉しいねえ、と郁が笑う。
「いろいろありがとね。そうだ、俺の胸のあざ消えたよ。見る?」
「み、見ないよ!!じゃあばいばい!!!」
「あ、逃げた!かわいーな!」
「おまえそれセクハラだろ…」
しかし、なんだかんだ憎めない奴ではあると、呆れながらも瑞は思う。この不可思議な魅力のある男とは、今後長い付き合いになることを、もしかしたら予感していたのかもしれない。
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作品名:黒闇抱いて夜をゆく 後編 探偵奇談7 作家名:ひなた眞白