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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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黒闇抱いて夜をゆく 後編 探偵奇談7

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風のみぞ知る



翌日。昼休みに瑞は、11組の颯馬を訪ねてみた。女子と話をしていた彼は機嫌よさそうに寄ってきて、改めて礼を言った。

「昨日はどうもありがとね」
「お疲れ」
「ねーなんかこの教室、ちょっと明るくなったんだよ。今まで天気よくてもなんか薄暗かったのに」

颯馬はそう言って笑う。一見して瑞にはわからないが、在籍している颯馬が言うからには本当なのだろう。聞けば、今朝は机の中に奇妙なものは入れられていなかったという。

「神末先輩と郁ちゃんにも、お礼しなきゃ。あ、」
「なんだ」
「うーん、俺昨日ちょーっと神末先輩に失礼なこと言ったかもしんなくて」
「あ、てめえうちの先輩に何言ったんだよ、それ聞かなきゃと思ってたんだよ」

伊吹が凹んでいたことを思いだし、瑞は眉根を寄せて颯馬を睨んだ。尊敬する先輩に無礼を働いたのなら許さん。

「そんな怖い顔しないでよ。うーん、なんか悩んでたから、ちょっと揺さぶってみたくなっちゃって」
「てんめえ…」
「かおこわっ!ちゃんと謝るってば」

この野郎。今度そんなことしたらただじゃおかん。

「…あ、すんません」

憤慨していると、教室に入りたそうにしている生徒に気づき、進路を塞いでいた瑞は詫びた。男子生徒だ。猫の様に背を丸めている。瑞が横に避けるが、彼は動かず颯馬を凝視している。その目に浮かんでいるのは、はっきりとした恐怖だった。

「…?」

瑞が怪訝に思っていると、颯馬が動いた。扉に背をつき、長い足を曲げて壁を蹴り、彼の進路をふさいだ。