小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」
ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
新規ユーザー登録
E-MAIL
PASSWORD
次回から自動でログイン

 

作品詳細に戻る

 

黒闇抱いて夜をゆく 後編 探偵奇談7

INDEX|20ページ/26ページ|

次のページ前のページ
 


(でもこんなものに頼らなくても、生きていけるよね)

綺麗ごとかもしれないけれど、颯馬を見ていると信じていいのだと郁は思えた。友だちのためにやり遂げた、達成感でいっぱいの颯馬の横顔が嬉しかった。

「しかし疲れたな」
「めっちゃ走ったもんね、最後」
「ごめんね郁ちゃん」

いつもみたいに笑ってから、颯馬は首を傾げた。

「…郁ちゃんから、瑞くんの匂いがする」
「えっ!?」

郁は慌てて彼から距離をとる。移り香が、確かにまだ香っているのがわかった。颯馬はニタアと笑うとにじりよってきた。

「さては二人でなんかいけないことしてたでしょ?」
「してないよ!!!なにいってんの!?」
「アヤシーなあ。一体どんな匂いが移るようなことし…」
「はーいセクハラでーす」
「ぎゃっ!」

頭を押さえてうずくまる颯馬、その背後には、鞄を颯馬の後頭部にぶつけたらしい瑞が、涼しい顔をして立っていた。

「それが祠?」

伊吹に問われ、郁は頷いた。髪の毛が供物であったことも併せ、颯馬が一通り説明をする。

「とりあえずこの石は粉々に粉砕して。それから沓薙山の天狗池に沈めてきます。それでもう仕舞いでしょ、いみご様」

にこやかに言う颯馬に、みな賛成した。あの山でなら、呪われたものもしっかりと清められるだろう。