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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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黒闇抱いて夜をゆく 後編 探偵奇談7

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「あ、ここ外れる」

正方形の天井板を外すと、彼は器用に隙間に手を入れてよじ登り始めた。

「郁ちゃん明かり」
「気を付けて」

スマホを渡すと、天井にぶら下がりながら、「あったよ」と彼は嬉しそうに言った。そして片手に何かを掴んで床に落とした。

「ひっ…」

髪の毛を、白い髪で束ねたものだった。それが2つ、3つ、4つと次々に落ちてくる。

「髪の毛を捧げていたのかな。そしてこれが祠の正体。ご神体?」

一抱えほどある石を片腕に抱いて、颯馬は降りてきた。

「石…だね」

黒々とした石に、古ぼけた紙の紙垂が巻かれている。これが、いみご様を祀った石?

「こんなものが天井にあったんじゃ、そりゃこのクラス、ギスギスもするわなあ」
「…これを別の場所に移せば、大丈夫なのかな」

郁が尋ねると、颯馬は笑って頷いた。終わったのだ。膝から力が抜けて、郁は座り込んだ。
いつの間にか霧が晴れて、いつもの夜が戻っていた。

「これで、このクラスも少しはマシになるかな」

颯馬は郁の隣に座ると、息をついてからそう言った。

「なるよ絶対」
「…うん、ありがとう」

悪意をためこんだ石。これがなくなればもう、悲しい思いをする人は減るだろうか。
人間は弱いから、嫉妬もするし競争相手を蹴落としたいと願うけど。