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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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黒闇抱いて夜をゆく 後編 探偵奇談7

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「逃げられないか…校内の構造がめちゃくちゃになってるんだ。これじゃあ瑞くんたちとも合流できるかどうか」
「いみご様のせいなのか?」

静まり返った廊下の向こうから、ぴた、と足音がした。瑞と郁ではありえない。裸足で歩く音だからだ。緩慢に、しかし確実に近づいてくる、その音。

「逃げましょう」

そう言われているのに、伊吹は足音がくる方向から目が離せない。その闇からいずるものの姿を、見たい。悪意に力を貸す神様の姿を。
非常灯の明かりに、何か黒いものがうごめくのが見える。

呪いが存在するのなら、それを叶えるものの姿を見てみたい…。

ぺた、ぺた、という動きに合わせ、何か棒切れの様に長い影が――

「!」

もう少しでその姿が目視できるというその瞬間、腕を引かれて視線がそれる。

「そんなじろじろ見ちゃだめですよ。魅入られますから」
「…!」
「ほら、逃げますよ」

ぼんやりしていた伊吹は、その言葉でようやくきびすを返した。霧の中を駆けだす。迷路のような校内を。

「でも逃げるってどこへ?」
「学校の外には逃げられないみたいです。このまま逃げ続けて朝を待つか…」
「朝まで?そりゃおまえ不可能だろ。力尽きて終わる」
「それか…本体をぶっ壊すかですね」
「本体?祠ってことか?」
「そー」

白い息を吐きながら、冷静な颯馬が言う。