小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」
ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
新規ユーザー登録
E-MAIL
PASSWORD
次回から自動でログイン

 

作品詳細に戻る

 

黒闇抱いて夜をゆく 前編 探偵奇談7

INDEX|32ページ/33ページ|

次のページ前のページ
 


郁の一瞬キョトンとした表情が非常灯に浮かび、伊吹は目をそらした。

「あれ?」

階上から、物音がする。

ゴン、ゴッ、ゴン、ゴン、ゴッ…

不規則なリズムで響く音。誰かが下りてくる?

「須丸くんたち、ですかね」
「…でもこれ、足音か?」

何か硬いものを叩くような音だ。教師?いや、違う。壁に、何かをぶつけているような、音。
二人は身を固くし、音に集中する。気温が下がったように感じるのは錯覚だろうか。

「すぐそこまで来てる…」

目を逸らせない。足を動かせない。階段の踊り場に注目する。もう、音はそこだ。もう、見えてしまう。ふわあ、と何か千切れた布のようなものが見えた。黒い。そして。足、のようなもの。骨の浮き上がった、どす黒い右足。それを視認した瞬間、伊吹はきびすを返して郁の背中を叩いた。