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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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黒闇抱いて夜をゆく 前編 探偵奇談7

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(ああ嫌だ。こういう気持ち!)

もやもやしたものを吹き飛ばしたくて、弓道場へ入る。矢取りに出ていた瑞と挨拶を交わし、準備を整えて射場へ向かう。時間がないので制服のままだ。背後で、瑞が見守っているのがわかる。

(俺だって…レギュラーチームにいたいと思うよ、そりゃあ)

雑念が混じる。集中できていない証拠。瑞が見ていると思うと、なおのこと思考と所作は乱れた。四本の矢はてんでばらばらの方向に刺さり、伊吹はため息とともに射場を後にする。

「だめだあ」
「調子悪いですか?」
「おまえはよさそうで羨ましいよ」

あ、嫌な態度とっちまった。別にこいつは悪くないのに、勝手にイラついてる。
気まずくて、瑞にそのまま背を向けて矢取りに向かう。

「もう閉めないとな」
「ほんとだ。颯馬が待ってる。祠探しですね」

片付けと掃除をして、二人して弓道場をあとにした。なんとなく、沈黙が続いている。子どもじみた嫉妬で、機嫌を損ねている自分を、瑞に気遣わせてしまっている。情けない、とまたわずらわしさが蘇った。自己嫌悪が募る。不調と不安を、瑞にぶつけたって意味なんてないのに。





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