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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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黒闇抱いて夜をゆく 前編 探偵奇談7

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「えっと、何組のひと?一年生だよね?」
「あ、ごめんね。名乗りもせず。俺、天谷颯馬(あまたにそうま)。11組」
「特進クラスなんだね。どうりで知らない顔だよ。校舎違うもんね」

11組は特別進学コースだ。普通科の中のトップクラスで、入試の内容も郁らとは違うと聞く。国公立大学を目指すエリートコースであり、普通科の他のクラスに比べると生徒数も厳選されているのだ。

(…その割にチャラいなあ)

盛大に崩した制服や髪形といい、話し方といい…。特進の子といえば、見た目も中身も堅実というか、はみ出さないような子が多いのに。妙に馴れ馴れしいというか、女の子の扱いに慣れているというのか、そういう自信が見て取れる。しかし嫌な感じはしない。笑顔が爽やかで、なんというか魅力的なのは間違いない部類の男子である。目が合うと愛想よく笑う颯馬。こんな笑顔を見せられると、女子ならときめくだろう。

「ねー、須丸くんってどんなやつ?俺いまいち知らなくってさ。すっごい男前で目立つていうのは風の噂で知ってるんだけど」

どんなと言われても。郁は考える。というか、いまいち知らない須丸くんに、彼はどんな用事があるというのだろう。

「えっとねえ、射手座のAB型。弓道部副主将、有段者。京都府出身」

それを聞いて颯馬は嬉しそうに手を叩く。

「おお、基本情報!他には?」
「ええ?うーん、好きな食べ物はカレー。得意科目は確か社会?英語は苦手って言ってた。休み時間はゲームかジャンプ読むかバスケか野球してる」
「もっともっと」
「ううーん…好きなタイプは……年上ってきいたことある」
「詳しいじゃん。もしかして付き合ってる?」
「と、もだちだよ」

平静を装って返したが、にやにやしている颯馬だから、絶対信じてないし面白がってる。