覇王伝__蒼剣の舞い4 【第一部完】
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薄暗い廊下に、靴音が響く。
金の髪とマントを翻し、その腰には白銀の剣。
「ぐっ…」
思わず漏れる呻き。
『…オ前ハ誰ダ?…何者ダ?』
「黙れ…」
『…オ前ハ___何ダ?』
「吾は…、心宿だ」
心臓を鷲掴みされるような激痛に耐えながら、心宿は息を継ぐ。
そんな彼の前に、男が立った。
「___心宿」
「白将軍」
「フフ、違うよ」
須黒は、いつもの彼らしからぬ笑みを浮かべていた。
そんな彼から伸びる、無数の長い管。
「__なるほど、化け物に喰われましたか」
「黙れッ…!」
「ふん」
向かってくる管を、心宿は剣で切り落とした。
「ぐぁっ…!」
「喰われた身で、このドラゴン七星の心宿に、敵うと思うな」
「心宿ーーーーー!!」
背を向けた心宿に、須黒の必死の攻撃が仕掛けられる。
その姿はもう、人の姿をしてはいなかった。
心宿の片手が、右から左へ払われる。
「ナ…ゼ…、白王…サマ…」
未だ終われない。四国最強の剣士と、認めさせるのだ。白王の元で。
____お前いつか、身を滅ぼすぜ。
七年前そういった男がいる。
「蒼…王…」
もう一度彼と剣を。
須黒の意識は、二度と目覚める事はなかった。恐らく彼は、自分の身に起きた事を理解していなかっただろう。
「ふふ、惜しいねぇ。須黒はいい腕だったのに。そんなにお腹が空いていたのかい?」 赤い石の前で、聖連がクククと嗤っていた。
白碧は、不気味な気配が覆うとしていた。
作品名:覇王伝__蒼剣の舞い4 【第一部完】 作家名:斑鳩青藍