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覇王伝__蒼剣の舞い4 【第一部完】

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 天狼の父は、星宿の父とは親友に当たる西領貴族である。
 前覇王に忠実で、遺産についても調べていたと云う。
 「___つまり、黒王は何か掴んでいると思って連れ去ったと?」
 「清雅さま、そういえば父から生前聞いた事があります。“ドラゴン狩り”が、あったと」
 「ドラゴン狩り?」
 「覇王家時代、未だ父が四獣聖だった頃だと聞いてます。三人の人物がそれに関わり、行われたと」
 「その一人が、あいつの父親だと云うのか?星宿」
 「でも、後二人は誰なんです?」
 「さぁ、何せ当時の四獣聖にも理解らなかったからな。今にして思えば、遺産探しだろう。覇王陛下が探そうとしていたのなら、間違いない」
 「四国の為に、ですね?」
 拓海の問いに、星宿は深く頷いた。
 そして見つけられぬままに、前覇王は世をさった。もし見つけていれば、蒼剣は目覚め、四国は分国する事もなかっただろうか。
 「あの〜、それと…」
 「他に何か?」
 「白王さまの側近でらした二人が消えたと、城では噂になっているそうです」
 「清雅さま、もしかして___…」
 清雅の記憶にあるのは、白将軍・須黒と、日影である。
 「とりあえず、黒抄だな」
 「黒抄へいかれるんですか?清雅さま」
 「行け、と云ってるのさ」
 側に置かれた蒼剣が、カタカタと振動している。
 その黒抄に、変異は起きつつあった。
 「来るのか?あれが」
 微かに赤く光る卵形の容器の向かい、黒王が問いかけるが答えは返らない。
 中の女性は何も語らず、ただ赤い液体に浮いている。