覇王伝__蒼剣の舞い4 【第一部完】
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金色の柱に囲まれ、大きな深紅の石がキラリと光る。
その前に来ると、妙に胸が締め付けられるのは何故だろう。
「___須黒、何か用か?」
「こちらにおいでと伺い、無礼を承知で参りました」
「美しいだろう?」
「は、はぁ」
「これは唯の石じゃない。歴とした生命体だよ」
「白王陛下…っ!?」
「それも、かなり凶暴でね」
金色の眸が細められ、赤い石から植物の蔓のようなものが無数に伸びて向かってくる。
「…っ」
「彼は飢えている。日影だけでは満足しないようだ」
「…今…何と…?まさか…」
「云っただろう?彼は吾の為に死んだと」
クスクス笑いながら、聖連の眸が赤く染まっていく。
___ドンっ!
「白…王陛下…どう…いう…」
ポタポタとしたたり落ちる血が、血の海を広げていく。
どんな剣も通さぬ白銀の鎧を貫く別の管。」
「ふふ…駄目ではないか。須黒が変な顔をしている」
残酷に笑む聖連の後ろで、その化け物は不気味に蠢いていた。
作品名:覇王伝__蒼剣の舞い4 【第一部完】 作家名:斑鳩青藍