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覇王伝__蒼剣の舞い4 【第一部完】

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 眠れぬ夜を過ごし、何とか寝台に躯を滑らせたのは深夜もいい時間帯だった。
 いろいろ、悩む事はある。この国へ来てから、悩みは増えるばかり。
 だと云うのに、頭を突く気配に寄せる眉は厳しくなる。
 こんな悪戯をするのは___、
 「焔さま、いい加減にしてくれませんか?」
 顔を上げたその前で、大きな口が開かれる。
 「グァ!」
 「………」
 「拓海、朝。朝ダ、起キロ」
 燃えるような赤い鳥が、一鳴きの後に言葉を云う。
 「焔さま…鳥になっちゃった…」
 寝起きの脳みそは、本当にそう思った。
 
 「…何で、あんたまでいるんだ?」
 露骨に嫌そうな顔をする城の主に、彼女は少しムッとするも思い出した事があると云った。
 「紅王さま?」
 「お父様が亡くなる一年ぐらい前らしら、部屋で剣を見つめながら心臓がどうのって云っていたのよ。とても辛そうにね」
 「それと、あんたが国を離れてまでここに来る理由にはならないと思うが」
 「天狼星を、奪われたそうじゃない?」
 「凌姫さま、それは吾の責任です」
 「狼靖、貴方を責めてはいないわ。私が思い出したのは、お父様がその時見ていた剣が天星だったという事。その剣には___眠れたるものを貫かん」
 そこにいる誰もが、硬い表情になった。
 央軌が紅華王城に来た時、天狼星を見た瞬間に何故思い出せなかったのか。凌姫は、今になって後悔した。
 あの聖連が、蒼剣よりも先に手に入れようとしている剣である。
 嫌な予感が頭を掠め、凌姫は大人しく城にいるどころではなかったのである。
 「清雅さま」
 「やっぱり、あの男気付いていたな」
 遺産の秘密が、覇王たる心臓にあると。
 「清雅、気をつけた方がいいわ。聖連は、見た目より恐ろしい男よ。このところ、白い影も動いていないし、かえって不気味だわ」
 その聖連の下に、彼はいるのだ。ドラゴン七星・心宿が。