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覇王伝__蒼剣の舞い4 【第一部完】

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          ※※※※※※
 それは、清雅が完全にドラゴンに支配される事を意味する。
 心も躯もドラゴンとなって、四国の厄と生まれ変わって。
 「そんな…」
 「白王さまが、心宿を利用しているのは…」
 「ドラゴンの本来の意思を消し去る為だ。奴は、誤った方向にドラゴンを目覚めさせるつもりだ。遺産を手に入れるために」
 「間違ってます、そんなの!白王のしている事は間違ってます。覇王になりたいからって…そんな…」
 「ドラゴンを魔物にしない方法は、我々の手でドラゴン七星を集める事だ」
 「その前に、こいつが暴走しなければな」
 「貴方を殺させませんよ、清雅さま。彼らに蒼剣の力は渡してはなりません」
 「軽く云ってくれる。鍵は向こうにあるんだぜ」
 躯と共に、二つに分かれたドラゴンの心。一つは心宿として、一つは蒼剣に。
 邪気を注がれた珠は、過去の記憶がない。それでも二つは強く引かれ合う。
 清雅が自制できなくなる日はやってくるだろう。
 「白王さまは、気付いてますね」
 「___?」
 「貴方が、ドラゴンの転生だと。天狼星に何故拘ったのか理解りました」
 「覇王たる心臓に秘めたり…」
 拓海が、震える口調で星宿の言葉を繋いだ。
 「ちょっと、益々こっちが不利じゃない?」
 「焔、お前四獣聖だろう」
 「まぁね」
 焔は、ペロッと舌を出して剣を抜いた。
 星宿の剣に重ね、拓海も剣を重ねる。それは、四獣聖の誓いの形。
 そして、清雅の龍王剣が最後に重なる。
 「我ら、四国の為に」
 「我ら覇王の為に」
 「我ら民の為に、共に戦わん」
 迷っている暇も、嘆いている余裕もない。
 「行きましょう。先ずは黒抄へ。覇王陛下」
 星宿、焔、拓海、狼靖が一斉に膝を突く。
 「ふん、四獣聖は馬鹿どもの集まりだな」
 髪を掻き上げ、清雅が笑う。
 そう、迷ってはいられない。ドラゴンが暴走すれば最早止められない。四国は永遠に揺れ動く。その前に、残り五個集めなければならない。
 そんな蒼国国境を、男がよろめきながら歩を進めている。
 「おい、あんた大丈夫か?」
 「…っているのか?」
 「はぁ?」
 「珠を…」
 「おい!?」
 メキメキとした何かが裂ける音。
 「寄こ、せ…」
 「ひぃっ…!!」
 男の絶叫が響き渡る。
 そこには、魔物と化した男がいた。