小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

覇王伝__蒼剣の舞い4 【第一部完】

INDEX|11ページ/17ページ|

次のページ前のページ
 

             ※※※※※
 「駄目ですっ」
 拓海は、思わず二人の間に入った。
 「星宿さま、どうして…」
 「清雅さまの頼みなのだ」
 「嘘です。ね、清雅さま」
 振り返る先に、いつもの清雅はいない。金色の眸で彼らを睨み、殺気を漂わしている。 「拓海、よけろ。今の清雅さまは別人だ」
 「清雅さま、どうしちゃったんです?」
 「拓海っ」
 振りかざす蒼剣がピタリと、止まる。
 「…たく…み…」
 「はい、清雅さま」
 「…くそ…っ!」
 「清雅さまっ!!」
 清雅は再び蒼剣を振り上げ、そのまま振り下ろした。
 ポタポタと血が滴り、床に血だまりを作る。
 蒼剣は、清雅の右腕を深紅に染めていた。
 「清雅さま…」
 「…ふん、何て顔してる…。俺は死んじゃいねぇぞ…」
 いつもの彼。
 泣かないと決めたのに、拓海は清雅の胸に飛び込んでいた。
 「清雅さま」
 「星宿、今回はお前に世話にならずにすんだな」
 「清雅さまを止められるのは吾ではなく、拓海かも知れません…」
 「おい拓海、痛ぇだろうが!俺は怪我人だぜ」
 思いっきり抱きつかれ、傷口を締め付けられた清雅がきれる。これもいつもの彼。
 だが、清雅の中にいるそれはいつ暴走してもおかしくない状態にいた。
 『いざとなったら、俺ごと殺せ。天龍が化けモンにならねぇうちにな。必ずだぞ』
 星宿に放った清雅の言葉は、未だ生き続ける。
 彼の中のドラゴンは、目覚めつつある。