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海野ごはん
海野ごはん
novelistID. 29750
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永遠の遠距離恋愛2

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 昨日スーパーで買った朝食の材料を使って、またしても彼が時間もかけずブレックファーストと呼べるホテルの朝食のようなものを作ってくれた。料理が好きなのもいいが、あまりにも手際が良いとまたあらぬ妄想が湧いてくる。男は料理が上手じゃなくてもいいかもしれない(笑)

「なあ、海に行こう」
「いいわよ」
「自転車があるから、それで行こう」
「いいわね」
 私は朝食と昨夜の後片付けを終わると、海への日焼け対策の化粧をして外に出ることにした。
「何してるの?」彼が玄関でゴソゴソやっている。
「カイト・・・。これを海で飛ばすんだ」
「カイト?たこあげ?」昔の私だからこんなふうにしか言えない。
「そだよ。したことある?」
「ない」
「じゃ、一緒にしよ」まるで子供のようだ。

 自転車は泊まったマンションの1階に置いてあった。自由に使っていいらしい。
 それから、河口の橋を渡り、風待ち港町だった石畳の古い町の中を走り、広い浜辺の海岸に出た。
 遊歩道は整備されており、自転車も快適に遊べる。あちらこちらでバーベキューもしている。観光地じゃないけど感じが良い浜辺の公園だ。
 彼は早速、カイトを組み立て飛ばそうとしていた。
 青い海、白い浜辺、堤防では魚釣り、沖にはヨットが浮かぶ。100%気持ちがいい場所だ。
「どう?飛びそう?」私は苦労している彼を見て言った。
「駄目だ、風が弱い」
 たしかに海風は穏やかで、防風林の松林の枝も揺れていない。
「やってみる?」と言われて私もチャレンジしたがさっぱりだった。
 彼が飛ばせないのに私に飛ばせるはずがない。

 子供のように何回も走ってはカイトをあげようとする彼を見ていると息子を思い出した。今はもうすでに大人になっているが、昔はああやって元の旦那と遊んでいたような気がする。気がするだけでああいう風景は見たことなかったかもしれない。しかし、子供のように遊ぶ彼を見ていると自分の息子のように思えた。それは彼が年下だからかもしれない。

「もう、あきらめたら?」私は遠くまで走っていってる彼に向かって言った。
 諦めが悪く何でも熱中するのが彼の性格だ。今度は自転車にカイトの紐を括りつけて、漕ぎだして揚げようとしている。まるで小学生のようだ。
 彼が全速力で自転車を漕ぐと、追いかけるようにカイトは宙に舞い、見事に空を泳いだ。しかし、悲しいかなクルクルと回転してカイトは地面に激突した。何度か同じチャレンジをしたが、結果は地面に激突着陸だった。
 
諦めたのか、彼はカイトの紐を短く持ち、肩先で手を上げて飛ばし始めた。なるほど紐が短いからあれではカイトは飛び続けるしかない。彼は気に入ったのか自転車に乗ってそこらじゅうを走り始めた。
「ほら、上手に飛んでいるだろう。ついて来いよ」そう言うと、浜辺の長い海岸線を走りだした。
 私も急いで自転車に乗り後を追いかける。彼と彼を追うようについてくるカイトとの風景が絵になるので私は携帯で彼の写真を撮った。これも幸せの一枚なのかもしれない。


作品名:永遠の遠距離恋愛2 作家名:海野ごはん