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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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あの日と同じに雨が降る 探偵奇談6

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「でも実際、おまえの射にみんな刺激されてる。いい雰囲気だよ」
「そう言ってもらえるとホッとします」

重圧を感じているのは、こいつも同じか。
同じ部活の先輩後輩として、悩んだりぶつかったりしながら、ときにこうしてホッとできる時間を分かち合っていければいい。

それが、望んだ形なのだ。

(でも…これでいいんだっけ?)

結び目を残したままの、糸。
瑞はたぶん、自分を殺して伊吹の望む後輩を演じている。そうさせているのは伊吹の弱さだ。たくさん傷つけて、ひどいことを言った。望んだ。

本当にいいのか?それでいいのか?

(曾祖父の話)

自分の名づけの話。自分と瑞が、他人同士ではすまないかもしれないことを決定づけるあの話。

「先輩、どうしたの。思いつめた顔して」

気が付くと、前を歩く瑞との間に距離があいていた。考え事をして立ち止まっていたらしい。

(嫌だ)

後悔したくないと、街灯の下の怪訝そうな瑞の表情を見て唐突に思う。後悔したくない。何も知らないまま生きていけば、いつかどうしてあのとき見ないふりをしたのだろうと思う時が来る。取り返しがつかなくなってから、後悔する時がくる。

そして、傷ついたことを隠して笑う瑞の顔を思い出して、自分を許せなくなる日が、きっとくる。