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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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あの日と同じに雨が降る 探偵奇談6

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「変ですか?衝動的にやっちゃったから、結構ヒドイんです。襟足とか」
「変じゃないよ。他の連中も、おまえがそんなふうだからか、気持ちが締まってきたと思う」

ス―スーして落ち着かないんです、と彼は襟足を繰り返し触っている。いまはむき出しの首も耳も長めの髪に隠れていたから、そりゃ落ち着かないだろう。

「チーム編成の件は、明日顧問に相談してみるか」
「はい」
「七時になるな。帰ろう」

リーリーと草むらで虫が鳴いている。弓道場から出て鍵を返し、並んで自転車小屋に向かう。

「だいぶ涼しくなりましたね」
「そうだな。もう秋か」
「そうだ、来週裏山に登るんです。歴史の授業で」
「あ、山崎先生だろ。沓薙山が好きなんだ、あの先生。四柱様の研究書も出してるし。俺らも一年のとき登ったなあ。結構楽しいぞ。おやつ持ってさ」
「あの先生の授業結構好きなんです。まるで見てきたかのような歴史の授業」
「そうそう、関ヶ原の戦いはアツいぞ。あと西南戦争も」

他愛もない話で盛り上がる。緊張感に満ちた部活のあとの、平和な会話。部活を終えたあとに自分らしくいられることがありがたい。自分の苦労や重圧を、この後輩だけはわかってくれている。それだけで救われる思いだった。

「…ありがとう」
「はい?なに突然」
「俺正直、指導やら、顧問とかコーチとのあれこれで手一杯なとこあるから…須丸がいろいろ言ってくれるおかげで、部全体のことも考えられる。さっきのチーム編成のことも、俺そこまで考えてなかったからさ」

俺は何も、と言って瑞が笑う。