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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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あの日と同じに雨が降る 探偵奇談6

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その間も木々は囁き合う。畏怖をこめたような、そんな声色なのは気のせいだろうか。


与えられた運命を  歪めてもなお  生きていくのか
 
この先  同じように  繰り返し繰り返し   幾度も  別れて
       
哀れな  愚かな   痴れ者めが
 
空はもう濁っていた。厚い雲が世界を灰色に変えていく。伊吹の手だけは離すまいと、瑞は必死だった。伊吹は、もう完全に遊歩道を外れている。背の高い草が茂る道なき道を、目的があるかのように躊躇いなく進む。匂いがする。雨の匂いが。

「わかったよ須丸」
「え?」

前を見据え、歩みを止めずに伊吹が言う。霧が出てきたのか、辺りがうっすらと白くなっていく。同時に雨が降り出した。ザアと音を立てて、辺りを、二人を濡らしていく。

「学校の怪現象。あれは、おまえを探していたんだ。この山の者たちが」

探す?

「何言ってるの?先輩、一回止まって。お願い」
「神様の子どもを、覗きにきていたんだよ」

神様の子ども…?伊吹の足は止まらない。この手を離したらもう戻れなくなる。瑞は危機感でいっぱいだった。どうしていいのか、わからない。


 定めの子らよ  雨を降らせる神の子と 神の子を喰らった罪子よ   
    罪は流れた 存在せぬことになった

   与えられた命だけで  なぜたりぬ  満足せぬ
      いつまでそれを 繰り返す  
   

道なき道のその先に、長い苔むした石段が見えた。雨でけぶって見にくいが、それがどこなの神社のような場所であることがわかる。