小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」
ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
新規ユーザー登録
E-MAIL
PASSWORD
次回から自動でログイン

 

作品詳細に戻る

 

あの日と同じに雨が降る 探偵奇談6

INDEX|25ページ/32ページ|

次のページ前のページ
 


「なに、今の…」

全身が粟立つ。呼応するかのように、風がつよくなる。雲が出てきて、影ができる。薄暗い山が、ざわざわと鳴き始める。

目覚めた。

瑞は唐突にそう感じた。眠っていたものたちが、起きた。

「…呼ばれている」

伊吹がそう呟いたかと思うと、先陣を切って歩き出した。

「先輩、待って」

ざわざわざわ、と木々の音が大きくなる。まるで、囁いているかのようだ。伊吹のあとを追いかけながら、瑞はその囁きをはっきりと聞く。たくさんのものが、話をしている。


きたぞ  きた
        きたな   この子らか


こんなのは幻聴だ。そうに違いない。そうに決まっている。耳を塞いでも聞こえてくるのはなんでだ。一体どうなっているんだ。


定めを歪めて   天命を放棄し   繰り返し生まれる子らか  
    愚かな   なんと憐れな    


(なんだよこれ…)

瑞は前を行く伊吹の手を取った。何かに憑かれたかのような彼が、このままもうどこかへ行ってしまいそうなのを防ぎたかった。伊吹はどんどん進んでいく。