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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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あの日と同じに雨が降る 探偵奇談6

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そう伝えると。

「これがいつか、危険を伴うものにならなきゃいいんだけど」

伊吹はそう結んだ。狐の祠の事件で、彼は怒りに巻き込まれてけがを負っている。だから心配しているのかもしれなかった。あれだけの激しい感情が伴う現象ならば、瑞にもわかると思う。今回は、さほど危険はないように思うのだが、浅田は参っているようだし、解決に向けて調査をしたほうがいいだろうか。
裏庭の事件のとき、いち早く伊吹にサインを送ってきた狐であるから、今回も何か伝えてくれるかもしれない。しかしその兆候はなかった。

あるとすれば。

「…おかしなことが起き始めたの、俺らが登山してからなんですよね」

自分たちが裏山へ行ったことが原因かもしれない。

「明日の土曜、午前練習だけでしたよね。俺、裏山に行ってみます。何かわかるかもしれないから」
「付き合うよ」
「え?」
「俺も手伝う」

伊吹がいやにきっぱりというので、悪いからいいですよと断ろうとしたのに言えなかった。

「え、なんで?」
「意外そうな顔しやがって。俺を後輩一人で行かせる冷血な人間だと?」
「お、思ってないですよ!」
「じゃー文句ないだろうがよ」
「ないけど…もしかして心配してくれてるんですか?」
「まあな。狐騒動のときみたいに、けが人でたりおまえがブチギレたりしたら大変だから」

じゃあなと言い、先輩は背を向けるのだった。伊吹が少しずつ歩み寄ろうとするその心情をくみ取れない瑞は、なんとなく戸惑いながら立ち尽くすのだった。



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