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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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あの日と同じに雨が降る 探偵奇談6

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熱心に手を合わせているのは女生徒だけでない。登山者らが小さな祠に参拝していた。

「一番望むものねえ」
「お金とか?」
「おまえ夢ねえよ」

隣で友人らが笑うのを聞きながら、瑞は真剣に考えていた。
一番望むものか。金?権力?名声?永遠の命?昔話の定石ならばそんなところだろうか。

(俺なら…なにを望むかな)

突然風が吹いてざわざわと木々の葉を揺らした。何かふと懐かしいような気持ちになり、落ち着かなくなる。

何を望むだろう。失ったものを、取り戻せるのだとしたら、何を。

誰を。

「ん?」
「いま、なんか聞こえた?」

周囲がざわめく。鈴のような音を風の中に聞いた気がする。自分の名前を呼ばれたように感じたのは、気のせいだろうか。懐かしい声を聞いたような。錯覚。

「童子様かなあ」
「お願いきいてくれるかもね」

ドングリを拾っていた保育園児らがそんなことを言って笑い、周囲の者を和ませた。

「あとは頂上の天狗様と、逆さ地蔵か。狐塚は学校で見たな」
「逆さ地蔵って所在がわかんないって先生言ってたな」