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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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あの日と同じに雨が降る 探偵奇談6

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他愛のない話をしながら登山道を歩く。整備されているので歩きやすい。時折見える祠や歴史について書かれた看板を観察しながら、瑞は友人らとマイペースに頂上を目指す。

「一之瀬は友だちだよ。部活の仲間」

郁とは女子の中では一番仲のいい友だちだと思う。

「あいつ弓道部に彼氏いんの?」

郁のことが気になっているらしい。彼氏は、瑞が知る限りいないと思うが、宮川主将という男前に片思いをしていることは知っている。言うべきなのか、言わないのが友情なのか。

「彼氏はいないけど、好きなひとくらいいるんじゃない?」
「そっかあ。頑張ってみようかなあ」

郁はああ見えて結構しっかりした女子だと思う。イマドキの女子高生なのだが、一緒にいろんな事件にかかわってきた瑞の中で、それは所詮見てくれだけの評価だ。
生霊事件のときの勇敢さにも驚いたし、伊吹とのあれこれで悩んでいるところも見抜かれた。彼女は見た目よりずっとタフだし頼りになるのだ。

「白虹童子の祠だって」

話しているうちに、史跡が見えてくる。
子どもが通れるほどの小さな鳥居がある。かわいらしい。その奥に石段があり、奥に社が見えた。

「根元にある宝物を守る子どもの神様で、町に白虹が出たときにこの山に登ると、そのひとが一番望むものが手に入る…だって」
「えー、すごくない?」

立て看板に書かれた文章を読み、いいないいなと女子たちが笑っている。

「その昔、娘を亡くした父親が山をさまよっていたところ、童子の導きにより娘の魂を掘り返したという…だって。命が手に入ったってこと?」
「すっごいね。お参りしてこ」