小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」
ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
新規ユーザー登録
E-MAIL
PASSWORD
次回から自動でログイン

 

作品詳細に戻る

 

通り過ぎた人々 探偵奇談5

INDEX|21ページ/23ページ|

次のページ前のページ
 

ゆく夏と



カレーを煮込む間、縁側に新聞を敷いて、郁は前髪を切ってもらっている。

「こう、右にスーッて流したいの。ぱっつんはヤなの」
「こっちを長く?」
「そう。目にかからないくらいで、こうね。ナナメ命!この角度!」
「めんどくせえなあ」

鏡を持ち、郁は細かく指示をする。前髪ひとつで雰囲気は変わってしまう。絶対に失敗したくないからいつも美容院へ行くのだが、瑞は勿体ないと言うのだ。彼は自分で髪を切っているのだという。うまいものだ。彼の緩くふわふわした髪は癖毛だという。

「やー変にしないでね?」
「お願いしといて文句言うんじゃないの」

瑞がコームとハサミを動かしているので郁は目を閉じる。

「ねえ、神末先輩と喧嘩でもしてるの?」

郁は気になっていたことを聞いてみた。

「してる」

即答だ。

「やっぱり…」
「つうか、俺が一方的にムカついてるだけ」

それももう、おしまいだけど。

瑞がそう呟くのを聞き逃さなかった。

「よしいいよ、目―あけてみて」
「あ、いい感じいい感じ!理想的ナナメ~!」