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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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通り過ぎた人々 探偵奇談5

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行き止まりの心



「え、お休み?」

朝練に顔を出した郁は、瑞が体調を崩して休んでいることを伊吹に聞く。

「珍しいですね、夏バテかなあ」
「うん…」

伊吹はというと、なんだか朝から暗い。何か思いつめたような横顔が郁は気になった。このひとも夏バテかもしれない。主将の重圧もあるだろう。何だか気が乗らないまま朝練が始まり、静かに行射が進んでいく。

「これ、おみやげー!」

練習終わりに、お盆休みに田舎に帰省したという先輩が、部員らにおみやげを配ってくれた。箱に詰まった和菓子だった。わいわいと集まりいただく。

「残った一個は須丸のなんだけど、あいつ休みか。このお菓子足が早いんだよね。冷蔵庫に入れといたら大丈夫かな」
「あの、あたし補講終わったら届けます」
「いいの、郁ちゃん。じゃあそこの冷蔵庫に入れとくね」

どうせ補講のプリントも届けてあげなければいけないし。

「あ、でも家知らないや。どこだっけ」
「俺知ってる。一緒に行こう」

伊吹がそう言ってくれ、二人で見舞いも兼ねて訪ねることに決まった。