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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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歪んだたより 探偵奇談4

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エレベーターで三階にあがる。各部屋に続く廊下の行くには、扉の電子ボードに数字でパスワードを打ち込むらしい。頑丈な扉が電子音とともに開いて、郁は感心する。

「おお~、これなら泥棒も入れませんよね」
「そうなの。パスワードは両親も知らない。誰にも教えていないから、勝手に部屋に入るなんて不可能なの」

ストーカー説を一蹴する証拠だ。こわもての管理人、フロアへ進むためのセキュリティと、外部からの侵入は不可能に思える。この扉をロックを外せても、部屋への扉は上下の二重ロックだし、まず誰も入ってこられないだろう。三階の部屋だし、外からン侵入も無理だ。

「どうぞ」
「おじゃまします…」

郁はこわごわローファーを脱ぎ、怜奈のあとに続いて部屋に入る。

扉を開けると靴を脱ぐスペースがあり、細い廊下が続く。右手に風呂場とトイレ、左手に小さなキッチン。突き当りのガラス戸を開けると、明るいワンルーム。カーペットの敷かれたフローリングには、ベッドと机、タンス。ガラス製の小さなテーブルが置いてある。クローゼットが備え付けてあり、光の入る窓の外はベランダになっている。

「きれーな部屋ですね」

怖い雰囲気は皆無だ。明るくて清潔な部屋。壁には眩しい笑顔の並ぶ写真がセンスよく飾られている。

「あたし霊感とかないからよくわかんないですけど、嫌な感じは別にしません」
「うん…わたしも。この部屋がおかしいっていうのとは違う気がするんだ。過ごしやすい快適な部屋で、嫌な感じもない。きれいで新築で…なのに、女の幽霊が出る。平和の日常の隙間に、スッと入り込むみたいにして、突然に」
「よくドラマにある、後ろが墓場とか、昔この部屋で誰か亡くなったとか、そういうこともないんですよね?」
「うん」

とりあえず、郁は室内を見渡す。水場も確認し、外から侵入される形跡がないかも確認していく。異変はない。怜奈はそんな郁の様子を不安そうに見つめている。

(このままじゃ心配ないですね、で調査が終わっちゃう…)

何か役に立たなくては。郁は探索をやめ、話を聴いてみることにする。