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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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歪んだたより 探偵奇談4

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郁は怖がりだったっけ。だけど申し訳ないが、伊吹も規則を破るわけにはいかない。女装して女性専用マンションに侵入した男子高校生。弓道部主将として、そんなことは絶対に、断固避けたい。すまない一之瀬。

「ごめんね一之瀬さん」
「怜奈さんは悪くないです!大丈夫、あたし行きますから!」

お人よしなのか、初対面の先輩にも気を使っている様子の郁に、伊吹は感心する。

「一之瀬」
「もう何!?」

ぷんすかしている郁を、瑞が呼び止める。

「おまえには多分害がないから、大丈夫だよ」
「え?」
「なんかあったら電話して」
「わ、わかった…」

郁には害がない?

「おまえ、もうなんかわかってるのか?」

エントランスに消えていく郁と怜奈の背中を見送りながら、伊吹は尋ねてみた。

「まだ確かなことは言えないけど、原因は怜奈さんにあると思う。一之瀬はたぶん大丈夫」
「そうなのか?」

確信はないようだが、ぼんやりと何かがわかっているような口調だ。まだマンションへ来ただけだというのに。一体こいつには何がどんなふうに見えているのだろうか。

「とにかく、ちょっと部屋の下を見たい」
「あの管理人、めっちゃ俺らを怪しんでるぞ…」
「あ、じゃあ女装してく?」
「…断る」

ひとまずその場を離れ、郁が戻るのを待つことにする。