小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」
ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
新規ユーザー登録
E-MAIL
PASSWORD
次回から自動でログイン

 

作品詳細に戻る

 

歪んだたより 探偵奇談4

INDEX|5ページ/40ページ|

次のページ前のページ
 


「…わたし怖くて、もうどうしていか」

俯く怜奈に、瑞が初めて言葉を発した。

「おじさんの家に行けばいいんじゃないですか。どう考えても危険でしょう。出るべきです」

その通りだ、と郁も思う。そんな部屋、一刻も早く出るべきだろう。

「…自分から無理を言ってさせてもらった一人暮らしを、簡単に辞めるとはいえなくて」

呆れたように、瑞が息を吐く。まあ、彼女の気持ちもわからなくはないが…。

「一体何が原因なのかがわかれば、対処できるかもしれない。友だちには笑われるだけで信じてもらえないし、わらにもすがる思いでここに来ました」

どうかお願いします、と彼女は瑞に頭を下げた、栗色の髪が、夏服の痩せた肩に流れて美しかった。瑞は腕を組んだまま黙っている。

「ねえ須丸くんっ」

見かねて郁は彼の肩を叩いた。何とか言ってよ、と。

「…俺は霊能者じゃないし悪魔祓いができるわけでもないです。解決できますって約束はできません。あれが見えた、これが見えたって、視えたものをありのまま伝えることしか」

それでいいです、と怜奈が顔を上げた。

「じゃあ、わかりました」
「あ、ありがとう…」
「期待しないで下さいね。吹聴もしないで下さい。どんな結果になっても、後悔しないで下さい」

怜奈は神妙に頷いた。

「それでどうするんだ、須丸」

伊吹に問われ、瑞はとにかく建物を見たいとそう言った。

「行ってみましょう。でも先輩、俺ね」

瑞は、依頼人の怜奈には聞こえない声で、こう続けた。


「これは怖いですよ、冗談抜きで」


怖い?彼にはもう、何かが視えているのだろうか。
瑞の言葉の真意を、こののち郁は、身をもって知ることになる。



.