歪んだたより 探偵奇談4
終わらせたいのなら、関係を切るなり修復するなりしないと。
瑞はそういって、悠里を呼ぶように言ったのだ。そして郁による面通しを行い、彼女が生霊を飛ばしていることを確信したのだった。
「…悠里ちゃん、わたしのこと、本当は嫌いだった?」
俯く彼女に問いかけてみる。
中学のバスケ部で知り合った。
それからずっと、仲良くしてきた。少なくとも怜奈はそうだった。
とろい自分を、ちゃきちゃき引っ張ってくれた悠里。
「…嫌いだったよ」
「…」
「いつもへらへら幸せそうなあんたが大嫌いだった。不幸になればいいのにって、思ってた。いまも思ってる」
「…」
ショックというより、ああやっぱり、という気持ちのほうが大きい自分に気づく。本当は心のどこかで、感じていたのかもしれない。
「親の金で一人暮らしして、友だちもたくさんいて、彼氏もいて、苦労なんて何もしてなくて…だからあんたにだけは絶対負けたくなかった。なのに…!」
「負けるって…何?友だち同士に勝ち負けなんて、」
「あるんだよッ!!」
悠里が吼えた。睨みつけてくる目が狂気を孕んでいる。
「あんたは本当におめでたいよ!あたしは人より優ってたい!それなのにあんたの隣にいると、自分は劣ってるんだって思い知らされる!成績も!容姿も!家庭も!全部全部!なんであんたばっかり!」
店内の客の視線がこちらを向いているのがわかる。しかし怜奈は、悠里から目が離せなかった。
作品名:歪んだたより 探偵奇談4 作家名:ひなた眞白