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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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歪んだたより 探偵奇談4

INDEX|32ページ/40ページ|

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歪み



夏休みだから会いにおいでよ、とそのメールがきたとき、彼女は気分が高揚するのがわかった。

やっぱりあの子はわたしを必要としている。自分に価値があると思えるのが心地よく、何より必要と「されている」自分のほうが、「必要としている」あの子よりも優れているのだと感じられ優越感に浸ることができた。

二つ返事でOKして日程を決めた。あの子の町まで電車で二時間。遠い距離ではない。高揚する気分で電車に乗る。入念にメイクして、鏡を幾度も確認した。

元気にしてる?
一人ぐらしに問題はない?
あんたは抜けてるから心配だよ。
困ったときは助けに行くから言うんだよ。

そんな言葉に返ってくる返信が、彼女はずっと気に入らなかった。

元気だよ。
一人ぐらしは楽しくて快適。
彼氏もできたの。優しいひとだよ。
今度紹介するね。

気に入らない。気に入らない。気に入らない。
不幸になれよ、幸せそうにするな、わたしよりも幸せになるな。

醜い感情を抑えられなくて、だけど取り繕って親友ぶって祝福したり共感してやった。
好きだからじゃない。嫌いだからだ。不幸になるのを見届けたいから、繋がってやっているんだ。

知らぬ間に下くちびるを噛みしめていて、痛みに我に返る。あの子の住む華やかな街に降り立つ。待ち合わせに指定されたカフェに入る前に、もう一度鏡を見る。メイクも服装も、あの子よりきれいじゃないとだめ。

昼間のカフェは混んでいた。奥まった席に、あの子の姿を見つける。

「怜奈!」

笑顔を作って声をかける。怜奈は一人ではなかった、四人がけの席に、一組の男女を伴っている。誰だろう。紹介するとかのたまっていた彼氏か、と彼女は顔を曇らせた。