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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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歪んだたより 探偵奇談4

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日付が変わろうとしている頃になって、伊吹はようやく重い腰をあげて自転車に跨る。くだらない諍いはもうたくさんだし、こんなことで悩むのは馬鹿らしい。夜の中で後輩が補導されたら大変だ。迎えに行こう。

怜奈のマンションまでの道のりを走りながら、瑞の姿を探す。住宅街は静まり返り、洒落た店舗が並んでいる商店街も暗い。街灯の明かりが星明りを消しており、空は暗かった。

(あいつどこいんだよ)

もうすぐマンションだ。と、通りかかった公園に人影を見た気がしてブレーキをかける。ブランコに誰か座っている。

「須丸」

よかった、瑞だ。気まずさを押し殺して声をかける。携帯電話の画面を見ていた彼は、振り返った。

「…あ、先輩」
「…一之瀬は?」

聴けば、「女」が来たという。瑞は詳しくは話さなかったが、彼の予想通りの展開になっているということが伊吹にはわかった。今夜はもう、何も起こらないだろう。それを聞いて、伊吹は安堵した。

「…さっきはすまん」
「どうして先輩が謝るの。怒らせたのは俺です」

声はいつもと同じ調子なのに、視線が合わない。

「俺、帰ります。一之瀬はもう大丈夫ですよ」
「……」

引き留めても、このやるせない空気が続くだけか。瑞の切実な思いを断ち切った伊吹には、これ以上もう引き留められない。